涼しい音色を奏でて夏の風物詩として欠かせないのが「風鈴」です。
「風鈴」はその素材によって音色が変わり、鉄製の物、陶器の物、ガラスの物などがあります。
江戸で伝統的に作られてきた物はガラス製の「風鈴」です。
ガラスは室町時代にオランダから長崎にその製法が伝わりました。そして江戸時代に長崎の
ガラス職人が江戸で実演したことがきっかけとなり、あっという間に江戸中で流行したという
ことです。粋でお洒落なことが好きな江戸の人々の感覚にマッチしたのでしょう。
今でも伝統的な「江戸風鈴」は職人さんたちの手作りによって受け継がれています。
「江戸風鈴」の愛嬌のある絵は、ガラスの内側に絵筆を差し込んで描かれています。
表に出る絵とは反対に描かなければいけないので、高い技術と経験が必要です。
また、江戸時代に流行ったのは、「風鈴」をたくさん吊り下げて売り歩く風鈴売りでした。
江戸時代には、魚や野菜などの食品売り、そば屋などの屋台など、往来にはたくさんの
売り屋の売り声がこだましていましたが、「風鈴」を売る人だけは「風鈴」の音色を聴かす
ために声を上げずに売り歩いたということです。
狂歌にも「売り声もなくて 買い手の数あるは 音に知られる風鈴の徳」と詠われている
ことからも、静かな売り姿が想い描かれますね。
 「風鈴」のチリンチリンという音色に風流を感じるのは日本人独特の感性だといわれ、
外国人の中にはこの音を解さない人も多いということです。鳥の姿が見えずとも、ウグイス
などの鳴き声に春を感じる日本人の感性を大切にしたいものです。
クーラーや扇風機がなかった江戸時代、自然の風のそよぎへの愛しさを人々は「風鈴」の
音に感じたのかもしれませんね。
現代でもしばし、テレビなどを消して、「風鈴」の音を感じたいものです。